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PET/CTについて、簡単に説明いたします。
PET検査は「悪性腫瘍が正常細胞に比べて多くのブドウ糖を取り込む」という性質を利用します。
ブドウ糖に類似したフッ素-18(F-18)という微量の放射性放出物質をくっつけたフルオロデオキシ・グルコース(以下、FDG)を注射します。
悪性腫瘍が多くのFDGを取り込み、そこから放出される微量の放射線をPET画像でとらえて、悪性腫瘍の位置、病変の広がり等を調べることができます(図1)。
PETの利点は、1回の検査で広い範囲を調べることができ、静脈注射し安静にするだけの苦痛の少ない検査で、悪性腫瘍の広がりや再発、組織の活動状態(ブドウ糖の利用)などから悪性度診断や治療効果判定(図2)が可能なところです。
特にCT、MRIだけでは診断困難な場合、治療後に腫瘍マーカーが上昇して再発が疑われるが従来の検査で指摘困難な場合、また、思わぬ病変(転移、異なる悪性腫瘍)に対してもPETは有用です。
さらに、PET/CTはこれらのPETとCTが一体となった装置で、一度の検査でPETの情報とCTによる形の情報を得ることができます。そのため、PET単独の画像よりも、病変の位置、範囲を正確に診断できます。
当院では新しい技術を取り入れたPET/CTを導入いたしました。
PET/CTのPETカメラは散乱線の影響を抑え、より正確、高品質の画像を撮影できます(図4)。
また、短時間で情報収集できる機能もあり、同じ撮影時間であればより鮮明な画像が得られます(図5)。
またPET/CTのCT部分は64列の多列CTで、通常の診断用のCTと同様に高速、正確な画像を撮影できます(図6)。
福山市民病院では当面、PET/CTでの人間ドックは行いません。
当院および他院の主治医の先生からの紹介による保険診療のみとなります。保険診療の対象疾患は、早期胃がんを除く悪性腫瘍です。(対象疾患であってもPET/CT検査に影響がでる状態の方、妊娠中の方など検査を受けられない方、また検査後に注意の必要な方(授乳はPET/CT検査24時間以内はできません)もおられます。)
糖尿病、放射線治療歴や、化学療法などの治療歴、妊娠や授乳の有無について主治医にお伝えください。
福山市民病院では、患者様向けのPET/CTパンフレットを配布しております。