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当院救命救急センターは2005年4月に認可を受け、診療を開始しました。
二次保健医療圏における唯一の救命救急センターとして福山・府中をはじめ、因島以東、県境を超え岡山県の井原・笠岡地域、しまなみ海道を通り搬送される愛媛県からの救急患者や、ドクターヘリにより搬送される各地域からの患者を受け入れています。特に病院の立地上、山陽自動車道での事故により搬送される患者は大阪、神戸、福岡など西日本各地から搬送されているのが現状です。当圏域には三次救急施設が当院のみであり、特にたらいまわしになりがちな多発外傷患者が多数搬送されています。救命救急センターは国により救急重症患者などの“いわゆるたらいまわし”を防ぎ重症患者を速やかに受け入れるように規定されています。その趣旨に添い、救急車からの“ホットライン(直接要請)”患者については、すでに診断がついており各科対応のできる転院搬送や、二次救急患者は当直している医師により診療を行うという、2系統による受け入れを行っています。
救命救急センターでは現在10名(専門医5名、専攻医5名)の救急科医師が専従で診療を行っています。この中で6名は全員救急科専門医を取得しており、ホットラインによる重症患者の初期対応、蘇生、処置、救命救急センターにおける治療管理とかなり幅広い医療を行っておりハードな業務となっています。
また、病院前医療の重要性が議論されている昨今、災害医療の取り組みも必要とされており、DMAT隊員として災害現場出動や各種訓練にも参加しています。
当院はドクターヘリを所有していませんが、ヘリポートを整備しており、広島ドクターヘリ、岡山ドクターヘリからの患者の受け入れを行っています。また、事故現場への臨場要請にも可能な限り対応しています。
さらに病院前救護の観点から救急救命士の教育も当院で行い、顔の見える関係の構築に努力しています。救急救命士の病院前医療行為が多岐にわたる現在、ホットラインによる直接的な指示on-line-controlは有効に働いています。
救命救急センターの問題点としては、圏域において唯一の救命救急センターではあるものの、切断指の再接着ができないことです。当院ができないということは圏域では不可能ということです。高度救命救急センターは切断指の再接着と重症熱傷を受け入れることが専権要綱となっていますが、実際には難しいことが多く全国的な問題となっています。また救急科医師が毎日2名ずつ病院に泊まっている状態で、人数が足りないということが最も大きな課題となっています。
現在の救急医療を維持するために各科の医師が協力して救急医を支え、病院の総合力として救急医療を行っているのが当院の現状といえます。
救急患者は重症度や緊急度により下記のように分類されています。この分類は国の救急医療の政策でも使用されています。しかしこの分類は医療側の分類であり患者さんが自分で判断することは難しく、救急患者が適切な受診をすることに混乱が生じ、大きな問題となっています。救急の場合、歩ける患者さんはまず初期救急医療機関(かかりつけ医や救急告知病院)を受診してください。そこで医師が重症度を判断して対応します。また救急車で搬送される場合、国家資格を持っている救急救命士が、みなさんの症状、重症度、緊急度を判断し、搬送する病院を決定します。
歩いて医療機関を受診することができ、基本的には入院の必要がない患者さんです。
救急搬送(救急車)、または自力で病院を受診されますが、基本的には入院が必要な患者さんです。緊急手術が必要な場合もあります。
基本的に一次、二次救急病院からの救急搬送される患者さんです。重症であり、集中治療や緊急手術が必要です。
ただ当院に搬送される患者さんすべてが三次救急ではありません。
二次救急患者と 三次救急患者の割合を示します。
上記のように救命救急センター開設当時は二次救急患者が多いのですが、徐々に三次救急患者が多くなり、2007年より三次救急患者が多くなっています。二次救急患者は減少の傾向にありますが、継続して搬送を受け入れているのが現状です。
最終更新日:2016年12月13日