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麻酔科・がんペインクリニックの業務は、手術の麻酔管理、集中治療室管理、がん性疼痛に特化したペインクリニックを三本柱としています。麻酔管理に関しては、10室の手術室、IVR-CT室、透視室、内視鏡センタ―などで行われる全身麻酔、脊髄くも膜下麻酔(脊椎麻酔)、硬膜外麻酔の症例全例と、呼吸・循環管理の必要な一部の局所麻酔症例の管理を担当しています。夜間・休日は、常時1〜2名の勤務、当直あるいは待機医師を配して、多発外傷や急性腹症、心臓血管外科症例などの緊急手術に迅速に対応できる体制を取っています。より複雑な長時間の手術症例が増えており、救命救急センターを併設した急性期病院、地域がん診療連携拠点病院としての役割が強まっていると考えています。手術を必要とするより多くの患者さんのニーズに応えていきたいと考えています。
従来の麻酔科術前外来(平日午前毎日)に加え、火曜日、木曜日、金曜日の午前中に3人ずつ周術期管理外来としての診療をしています。周術期管理外来は、術前から術後にかけての 一貫した周術期管理を目的としています。現在は、開心術、肺葉切除、食道外科、肝胆膵領域の大手術、開頭術、頭頸部の大手術などの周術期合併症のリスクの特に大きい手術を受けられる患者さんを対象としています。1人の患者さんに約2時間かけて歯科口腔外科医師、薬剤師、周術期管理看護師、当科医師が、系統的に術前の診察、評価、説明と口腔衛生のための治療を行っています。歯科口腔外科の診療が行われることを意外に感じられるかもしれません。禁煙が呼吸器疾患をはじめさまざまな病気のリスクを減らすとともに創部感染を減らすことは知られるようになってきましたが、良好な口腔衛生は禁煙に劣らず肺炎などの術後の合併症を減らすのにとても大切です。手術前の周術期管理外来を含む麻酔科外来での診療は、手術を受けられる患者さんの安全と安心の向上に役立つものと考えています。
手術室に隣接してICU8床、HCU4床からなる集中治療室が設けられ、その管理を担当しています。当科の医師が24時間常駐し、主に院内発生の重症症例並びに大手術の術後症例に対して、人工呼吸や心肺補助、血液浄化法を含む先進の集中治療を提供しています。
がんペインクリニックは、薬物療法など従来の手法で対処が不十分な比較的強いがんの痛みに対して、主に当科の得意とする神経ブロックを用いて効果的な緩和を目指すことを目的としています。がん緩和医療は、終末期医療という意味ではなく、がんを抱えた患者さんのあらゆる「苦痛」を和らげることです。このうち「痛み」を和らげるという緩和医療の一翼を担うだけでなく、ペインクリニックの専門研修施設としての責務も果たしてまいります。なおスタッフ全員が麻酔科との兼任であり、手術室での麻酔業務との調整が必要ですので、受診にあたっては完全予約制とさせていただいています。