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広島県には県西部に広島大学病院(広島大学消化器代謝内科)、東部に福山市民病院の二つの肝疾患診療連携拠点病院があります。福山市民病院は、県東部の肝疾患診療連携拠点病院として地域の患者さまや医療施設に肝疾患診療についての最新の情報を提供するとともに、急性・慢性肝疾患から肝がんまでのすべての患者さまに個々の病態に応じた最新の診療・治療を提供しています。
最近のウイルス性肝炎の治療では、経口抗ウイルス剤によって、B型肝炎ウイルスの増殖を抑制し、C型肝炎ウイルスを除去することができます。肝炎ウイルスの増殖抑制あるいは肝炎ウイルスを除去できれば慢性肝炎は肝硬変に進行することもなく、また肝がんを発症する患者さまも少なくなってきます。ウイルス性肝炎の治療が可能となった今、ウイルス性肝炎の患者さまには専門医による治療を受けられることをお勧めします。
今、B型、C型ウイルス性慢性肝炎の患者さまは次第に減少しつつありますが、それでもなおB型、C型肝炎ウイルスによる肝硬変、肝癌の患者さまは存在します。また、最近では糖尿病・脂肪肝を基礎疾患とした肝硬変、肝癌の患者さまが増加傾向にあります。福山市民病院では、B型、C型慢性肝炎、肝硬変、肝癌を含め全ての患者さまが科学的・論理的根拠に基づいた最新の医療を公平に安全に効率的に受けられるよう診療体制を整えています。
慢性肝疾患は受診した時だけで終了する疾患ではありません。慢性肝炎から肝硬変、肝癌に至る疾患です。患者さま一人ひとりに適した診療体制で、福山市民病院とかかりつけ医がお互いに情報を交換し患者さまを中心として長期にわたってきめ細かく診療を継続すること、これが医療連携の意義です。
肝疾患診療連携拠点病院、肝疾患専門医療機関として福山市民病院は地域の患者さまに肝疾患の情報を提供し、備後地域においても最新の良質な肝疾患診療・治療が等しく受けられるようにしています。それぞれの専門医療機関・かかりつけ医が肝疾患診療を推進しやすいような地域医療連携、病診連携の構築を目指していきます。