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上部消化管内視鏡検査では、検査前に咽頭麻酔(経口内視鏡時)・鼻腔麻酔(経鼻内視鏡時)を行います。
リドカイン塩酸塩製剤を咽頭・鼻腔粘膜表面に噴霧する事で局所麻酔を行います。
局所麻酔の効果が切れる検査1時間後より飲水が可能です。
上部消化管内視鏡検査で、咽頭反射・嘔吐反射が強い場合や患者さまの不安の強い場合等は、必要に応じて鎮静剤の使用も併用しています。大腸内視鏡検査でも同様に鎮痛剤・鎮静剤を必要に応じて使用します。上下部の治療内視鏡(食道・胃・大腸ESDやEISL等)や小腸内視鏡検査、胆膵内視鏡等の検査時には、鎮痛・鎮静剤のルーチン使用を行っています。
鎮痛・鎮静剤の使用に際し、麻酔による呼吸抑制等の危険性も伴うため、薬物の適量使用や偶発症・合併症の予防と早期対応のために、酸素飽和度や血圧・脈拍等のモニタリングを行います。また、検査後の覚醒遅延や覚醒後の再鎮静による合併症予防のため、鎮静薬使用時には検査後に必ず拮抗薬を使用します。
外来検査の場合には、鎮痛・鎮静剤使用時には内視鏡室内のリカバリールーム(回復ベッド)にて2時間程度休憩していただく必要があります。また、自動車・バイク・自転車の運転は控えていただきます。
内視鏡検査を行う場合、観察・治療を行うために空気を送気して消化管の管腔を広げます。この空気が消化管に溜まっていく事で、腹部膨満感、腹痛などの症状を生じます。これは長時間に及ぶ検査・治療で顕著となり、これにより検査・治療の中止を余儀なくされたり、場合によっては血圧低下や徐脈などを起こすこともあります。
CO2送気は通常の空気と比較して、約100倍消化管からの吸収が早いという事が分かっており、送気してもすぐに吸収されるため、検査時・検査後の腹部膨満感や腹痛の軽減、合併症予防に役立ちます。
当院では下部消化管内視鏡検査と治療内視鏡・胆膵内視鏡では、二酸化炭素(CO2)による送気を基本とし、検査時の苦痛除去・合併症予防に取り組んでいます。