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膵がん 内科
膵がんは早期発見が難しく、黄疸や腹痛などを契機に進行した状態で診断されることが多く、また悪性度が高く難治性です。当科では以下のような取り組みを行っています。
膵がんの危険因子とされる膵のう胞、膵管拡張(膵液という消化液の通る管)、糖尿病の急激な悪化がみられた場合、MRCPや造影CTのほか、積極的に超音波内視鏡検査(EUS)で小さな膵がんが潜んでいないか詳しく調べます。初回の検査で悪性所見がない場合でも、放射線被曝がなく造影剤の点滴が不要なMRCPとEUSで半年ごとに経過観察を行います。悪性が疑われた場合、内視鏡的逆行性膵胆管造影法(ERCP)および膵液連続細胞診(SPACE)や超音波内視鏡下穿刺吸引生検法(EUS-FNA)で病理学的な診断を行い早期発見に取り組んでいます。
膵がん治療の第一選択は外科切除です。しかし、膵がんは悪性度が高く、切除できたとしても早期再発が多いことから切除前に補助化学療法(放射線化学療法)を行っています。 また、切除不能進行がんに対しては、化学療法を行い腫瘍の進行をなるべく食い止めるようにします。
胆道閉塞による黄疸に対する内視鏡的胆管ステント留置術(EBS)や超音波内視鏡下胆道ドレナージ(EUS-BD)のほか、胃や十二指腸の閉塞による食事摂取困難に対し内視鏡的消化管ステント留置術など内視鏡的治療を行っています。同時にがんによる痛みや精神的なストレスに対しては緩和ケアチームと連携して積極的に症状緩和を行います。
当院では、肝胆膵外科、腫瘍内科、放射線科、緩和ケア科と連携し、患者さんに最も適した治療法を提案し、実践しています。
膵がんや胆道がんは、上記のように内視鏡的な精密検査や黄疸・胆管炎の治療が行われますが、当科は近隣の大学病院に匹敵する胆膵内視鏡件数を誇り、広島県東部随一の経験を有する専門施設ですのでご安心ください。
★内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP):内視鏡を口から挿入し、十二指腸乳頭部にカテーテルという細いチューブを入れ、胆管や膵管を直接造影する検査です。胆膵管の異常を正確に診断することが可能で、胆汁や膵液を採取し、病理学的診断を行います。引き続き、胆汁や膵液の流れが悪い場合、プラスチックや金属のステントを留置します。
★超音波内視鏡検査(EUS):先端に超音波(エコー)がついた特殊な内視鏡を口から挿入し、胃や十二指腸から膵臓や胆管を観察する検査です。膵臓や胆管は体の奥深いところにあり、通常の超音波検査(エコー)では十分な観察は困難ですが、EUSでは数㎜単位の小さな病変を発見することが可能です。腫瘤があれば引き続き細い針で細胞を採取し、病理学的診断を行います。また、小さな血管を避けることが可能であり、出血など検査に伴う合併症を最小限にすることが可能です。