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子宮頸がん(産婦人科)
Q. 子宮頸がんとはどのような病気ですか?
子宮頸がんとは子宮頚部と呼ばれる子宮の入り口にあたる部分にできるがんのことです。
Q. 子宮頸がんの症状について教えてください。
子宮頸がんの初期は無症状であることがほとんどです。子宮頸がんがある程度進行すると、月経時以外の出血や、過長月経、性交時の出血、帯下の増加などの症状が出現します。
Q. いつから子宮頸がん検診を受けた方がよいですか。
他のがんと比較して若年での発症が多く、全体として30~40歳代での罹患率が高いため、若年からの定期検診の必要があります。日本医師会では20歳からの子宮頸がん検診を推奨しています。ぜひ20歳代から子宮頚がん検診を受けましょう。
Q. 子宮頸がんの原因はありますか?
子宮頚がんの大部分はHPV(ヒトパピローマウィルス)の感染が原因と言われています。HPVは性交渉で感染することが分かっていますので、性交経験のない方は子宮頸がん検診を受ける必要はないとする意見もあります。
Q. 子宮頸がんの進行度について教えてください。
子宮頸がんは初期の段階では子宮頚部にとどまっていますが、進行すると近くの臓器(直腸や膀胱等)やリンパ節に広がります。それぞれのがんの広がり具合に応じて進行度を評価していきます。
子宮頸がんの進行度はステージIA~IVBまであります。
Ⅰ期・・・がんが子宮頸部に限局するもの
Ⅱ期・・・がんが子宮頸部をこえて広がっているが、骨盤壁または腟壁の下1/3には達していないもの
Ⅲ期・・・がんが骨盤壁に達するもので、がんと骨盤壁との間にがんでない部分をもたない。または腟壁の浸潤が腟壁の下1/3に達するもの
IV期・・・がんが小骨盤腔をこえているか、膀胱・直腸粘膜を侵すもの
子宮頸がんの進行度(ステージ)を的確に診断することが大切ですが、子宮体がんや卵巣がんとは異なり、治療前にステージ診断することが子宮頸がんの特徴です。
当院では子宮頸がんのステージⅡA期までの加療を行っています。ステージⅡB以上に進行した方には放射線腔内照射(RALSといいます)が必要であり、RALSのある施設を紹介しています。
Q. これから妊娠を考えているのですが、治療を受けても妊娠は可能でしょうか?
挙児希望のある初期子宮頸がんの方には子宮温存治療はできます。子宮頸がんがある程度以上進行すると、ごく限られた施設でしかできない特別な手術法もありますのでご相談ください。適切な施設を紹介いたします。
Q. 子宮頸がんの治療について教えてください。
子宮頸がんの治療は、手術療法と放射線療法が中心となります。また、これらに加えて抗悪性腫瘍薬による化学療法が補助的治療法として用いられます。
●子宮頚部円錐切除術
子宮円錐切除術は子宮頸がんステージⅠA1期までに行われる手術療法です。当院ではハーモニック・スカルペルという超音波メスを使って、子宮頚部を円錐状に切開することでがんがある部分を切除します。この手術は2泊3日の入院期間で治療ができます。子宮頚部のみを切除するので、子宮は温存でき、挙児希望のある方も選択できる治療法です。ただし、子宮円錐切除後の妊娠は流産・早産のリスクが手術をしていない人に比べて2.7~4倍近く増加すると言われているため、妊娠中には安静を心掛けることが必要となります。
●子宮全摘術
主として開腹して子宮を摘出する手術です。子宮頸がんステージⅡA期までに行われる手術療法です。病状の進行度に応じて子宮だけ摘出する術式(単純子宮全摘出術)と、周りの靭帯を併せて子宮摘出する術式(広汎子宮全摘出術)があります。また、併せて両側付属器(卵巣・卵管)を摘出したり、近くのリンパ節まで摘出する術式を選択することもあります。
●放射線治療
放射線をがんが存在する部位に照射する治療のことで、子宮頸がんに対する放射線治療の成績は良好であり、欧米では根治的放射線治療は手術療法と比較しても劣らない結果が示されています。高齢の方や内科的な疾患がある方、手術を希望されない方に対して有効な治療法です。また進行子宮頚がんに対しては放射線治療を中心とした治療が必要になります。
放射線腔内照射(RALS)とは、子宮や膣の中にチューブを挿入し、その中に放射線を出す物質(線源)を入れる治療法です。先ほどの外照射と比べて病巣に直接放射線を当てることができますが、当院では実施できませんので、RALSが必要な方には実施可能な施設を紹介します。