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外科治療のご紹介(肝臓がん)

記事ID:0000283 更新日:2021年1月4日更新 印刷ページ表示

肝細胞がんとは

肝臓のがんは、肝臓にできた「原発性肝がん」と別の臓器から転移した「転移性肝がん」に⼤別されます。原発性肝がんには、肝臓の細胞ががんになる「肝細胞がん」と胆汁を⼗⼆指腸に流す管(くだ︓胆管)の細胞ががんになる「胆管細胞がん」があります。 ⽇本では原発性肝がんのうち肝細胞がんが90%と⼤部分を占め、肝がんというとほとんどが肝細胞がんを指しますので、ここでは「肝がん」と記して「肝細胞がん」について説明します。

 

肝臓がんと肝炎ウイルス

肝臓がんになる⼈にはある特徴があります。それは、B型肝炎やC型肝炎に10年・20年と⽐較的⻑い期間かかっていた⽅が多いということです。肝臓がんの約90%が肝炎ウイルスにかかっている⽅です。したがって、今現在肝臓がんがない⽅でも、肝炎ウイルスにかかっている⽅は要注意です。現在では、肝炎ウイルスを駆除する治療もありますので、専⾨医の診断を受けることをお勧めします。 肝炎ウイルスにかかってない⼈では、飲酒量の多い方(=アルコール性肝障害の⽅)、⽣活習慣病(糖尿病や脂肪肝など)の方が残りの⼤半です。つまり、まったく正常の肝臓から「肝臓がん」ができることは稀であり、肝炎や飲酒、⽣活習慣病など何らかの背景因⼦のある⼈は注意しなければなりません。

 

肝臓がんの症状

肝臓は「沈黙の臓器」と⾔われており、がんによる症状がでない⽅がほとんどです。医療機関での定期的な検診や精密検査、ほかの病気の検査のときに肝がんが発⾒されることが多くあります。肝臓は通常1〜1.5Kg位の臓器であり、その中1cm⼤の肝臓がんができても、肝機能に障害が起こることはほとんどありません。症状を⼿掛かりに肝臓がんを⾒つけるのではなく、前述のように肝臓がんになりやすい要因を持つ⼈を中⼼に肝臓がんを⾒つけていくことが重要です。

 

肝臓がんの検査⽅法

肝細胞がんが疑われるときは、CT検査、MRI検査、超⾳波検査、必要に応じて⾎管造影検査を施⾏します。「がん」なのかどうかだけを診断するのではなく、肝臓の機能や予備⼒、さらに、1個なのか、複数個あるのかを検査します。「採⾎」では、肝機能・肝予備⼒、肝炎ウイルスの状態などを⾒ています。「画像診断」では腹部超⾳波、CT検査、MRI検査を⾏い診断します。当院では撮影したCT情報から肝臓の3D解析を⾏い、肝切除のナビゲーションに応⽤できるようになりました(下図)。この解析結果と肝機能の評価から、最も合理的な肝切除術式を検討することで、安全性と根治性の追求が可能となります。

撮影したCT情報から肝臓の3D解析の画像1撮影したCT情報から肝臓の3D解析の画像2

肝臓がんの治療

肝細胞がんの治療は、1)⼿術療法、2)局所療法(ラジオ波焼灼療法、エタノール注⼊療法)、3)⾎管塞栓療法、および4)肝移植があります。最近では、分⼦標的治療薬が肝細胞がんの治療として認められ、進⾏した症例に対し導⼊されます。 肝細胞がんの治療⽅針の決定には、全⾝状態も考慮された上で、基本的に“肝がん診療ガイドライン“のアルゴリズムを参考にします。このアルゴリズムはあくまでも「マニュアル本」みたいなものです。全ての患者さんに適応できるわけではないですし、例外も多数あります。肝機能が⾮常に悪い⼈であってもさまざまな準備を⾏うことで、⼿術を可能にしたり、腫瘍がきわめて⼤きかったり、また⾮常に多数であっても、カテーテル治療や抗がん剤治療と組み合わせることで治療を可能にしたりと、さまざまな⼯夫をすることにより治療を⾏うことが可能となっています。

 

肝臓がんの治療成績

術後生存率をあらわす折れ線グラフの画像1

上のグラフは、術後⽣存率を表しています。当院における肝細胞がんに対する肝切除後の5年⽣存率は65%で全国集計の54%を⼤きく上回っています。これは、当院の肝がん診療における切除を中⼼とした集学的治療の結果であると考えています。

 

おわりに

肝臓がんの治療は、肝切除(外科⼿術)、局所療法(ラジオ波焼灼術)、肝動脈塞栓術(カテーテル治療)、化学療法(抗がん剤治療)など、肝障害度と腫瘍条件により選択する必要があります。私たちは、外科、内科、放射線科の総合カンファレンスを⾏い、患者さんそれぞれに適した治療法を検討しています。さまざまな診療科がその特性を活かして肝臓がんの治療にあたっています。当院では年間100例近くの肝切除を⾏っており、中四国地⽅でも有数の⼿術経験をもつ施設です。他の病院で⼿術できない難しい症例や、⼩さな創でカメラを⽤いて⾏う鏡視下肝切除も積極的に⾏っていますのでご相談ください。


診療受付時間
8時30分から11時30分
患者さん及びご家族の皆さまへのお願い
※当院は原則予約制です。初診はかかりつけ医で予約を取り、紹介状をお持ちください。
外来診療日
月曜日から金曜日
祝日・年末年始を除く