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がんは遺伝因子や環境因子などのさまざまな要因で、体の細胞の遺伝子が変化して細胞が増殖のコントロールを失ってしまう病気です。がん細胞の遺伝子に起こっている変化(病的バリアント、変異)は、患者さんひとりひとり、同じ患者さんでも細胞ごとに異なります。当院がんゲノム医療外来では、「がん遺伝子パネル検査」を用いて、がん細胞に起きている遺伝子の変化を調べ、がんの特徴に合わせた治療法をご提示することを目指します。
「がん遺伝子パネル検査」では、患者さんのがんの診断や治療に役立つ情報を得るために、がんにおける多数の遺伝子を、一度に解析します。解析結果は医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師、認定遺伝カウンセラー、バイオインフォマティシャンをはじめとした多職種の専門家からなる「エキスパートパネル」といわれる専門家会議で議論し、治療効果が期待できる薬剤や、参加できる可能性がある臨床試験・治験の有無を含めた、最適な治療法を検討します。
がん遺伝子パネル検査を受けることで、あなたの今後の治療選択に役立つ情報が得られる可能性があります。がんにかかわる遺伝子の研究は日進月歩であり、その結果の解釈も複雑なため、専門家が最新かつ確かな情報を用いて検討します。一方でこの検査を受けても、あなたの治療選択に有用な情報が何も得られない可能性や、解析に用いた検体の品質や量によっては、解析自体が不成功に終わる可能性があります。
本検査の結果、下記の治療法の提示が可能になる場合があります。
一方でこのようにしてあなたに適した薬剤が見つかった場合でも、以下のような場合には、あなたの治療法として選択できない場合があります。
この検査を受けた方のうち、検査結果に基づいた治療を受けられるのは現時点で約1割程度に留まると想定されます。現在のところ約9割の患者さんは、この検査を受けても、検査の結果がご自身の治療に直接つながらない可能性があります。
なお、この検査によって治療効果が期待できる治療薬の情報が得られた場合でも、その治療薬の効果を保証するものではありません。
がん遺伝子パネル検査は、現在通院中の主治医の判断に必要な情報を提供するものであって、検査後の治療は現在治療を行っている主治医の判断となります。この検査の結果が、主治医の判断よりも優先されることはありません。
当外来は予約制です。外来受診日は、お申込みいただいた後に個別にご連絡を差し上げます。
令和元年6月より「OncoGuideTM NCCオンコパネルシステム」と「FoundationOne® CDxがんゲノムプロファイル」という2種類のがん遺伝子パネル検査が保険収載され、保険診療での検査を開始しています。当院では令和元年11月よりがん遺伝子パネル検査を実施しております。
保険適応の対象となる患者さんは、下記の通りです。
ご自身が対象となるかどうかは、現在治療を受けられている主治医とご相談ください。
患者さんへの概要説明用の資料として(2)がんゲノム医療外来について [PDFファイル/645KB]を作成しておりますので、ご参照ください。